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2022-06-10

【印刷・DTP】入稿用データで必要な「トンボ・塗り足し」とは?

トンボ、塗り足しとは?

印刷会社さんに印刷を依頼するには、
印刷に適したデザインデータを用意する必要があります。

その際に、必ず必要になるのがトンボです。

塗り足しは、紙の端までデザインがある場合に必要な処理のことです。

それぞれ、どんな役割があって、なぜ必要なのか?
例を用いて、分かりやすく簡単に説明します。

トンボとは?

トンボは、印刷物を綺麗に仕上げるために必ず必要な目印 です。
別名「トリムマーク」。

↑ 見た目はこんな形をしていて、以下3つの役割があります。

① 版をぴったり重ねるための目印

カラー印刷は、4色(CMYK)のインキを重ねて様々な色を表現しています。

CMYKは、C=シアン/M=マゼンタ/Y=イエロー/K=Key Plate(ブラック)。
それぞれの頭文字です。

例えば、このようなデザインデータを入稿したとします。

印刷工程では、始めにデザインデータを4つの色(CMYK)に分けます。
そして、【 Cの版、Mの版、Yの版、Kの版 】合計4つの版を作ります。

多色使いの版画を思い浮かべていただくと、分かりやすいかもしれません。

この4つの版を使って、インキを順に重ねて印刷していきます。

  1. Kの版で、Kのインキを使用し印刷
  2. 1.の上に、Cの版で、Cのインキを使用し印刷
  3. 2.の上に、Mの版で、Mのインキを使用し印刷
  4. 3.の上に、Yの版で、Yのインキを使用し印刷

このとき、4つの版がぴったり重なるようにトンボを目印にします。
これが、一つ目のトンボの役割です。

裏面があるデザインの場合にも、トンボが活躍します。
トンボがあることで、表裏をぴったり合わせて印刷することができます。

モノクロ印刷など、使う色が1色の場合も、以下②③の理由から、トンボは必要です。

② 断裁(カット)するときの目印

印刷は、大きな紙にいくつか並べて行われます。
これは、「面付け」と言います。

※ポスターなどサイズの大きいものや、印刷機によっては、面付けしないこともあります。

薄いグレーの部分が紙。
赤い線が仕上がりで、ここでカットされます。
例では、分かりやすいように色をつけています。

印刷した後、トンボを目印に断裁機でカットされます。
このために、トンボが必要になります。

断裁後がこちら。↓

\完成です/

③ 折り線の目印

三つ目の役割は、折り線などの加工が入る目印
これは、デザインを制作する側にとっても、レイアウトする上で欠かせない大切なトンボです。

以下は、三つ折りパンフレットのデザインデータ(架空)です。

中央から見て、左右上下に4本付け足している線が、折り線のトンボ。
(分かりやすいように、赤くしています)
三つ折りパンフレットや、パッケージなど、折り加工をするデザインに付けます。

折り加工が必要な場合、このトンボがないと、印刷会社さんは、どこで折れば良いのか分かりません。

【注意!】トンボを付けるときの注意点

トンボの線の色は必ず、C 100%/M 100%/Y 100%/K 100%にします。
この4色全てを100%にすることを「レジストレーション」と言います。

なぜ、レジストレーションにしなければならないのか?
例として、K 以外を20%にしてみます。


ブラック以外のトンボの色が薄くて、ほとんど見えませんね。
これでは、版を合わせることが難しくなります。

多くのデザインソフトでは、自動でレジストレーションになりますが、
念のため入稿前に確認することをおすすめします。

塗り足しとは?

塗り足しは、断裁のズレ対策です。
仕上がりサイズを超えて、トンボの角までデザインを広げることを言います。

赤く囲った線は、カットされる部分。
この線から外側にはみ出た部分が、塗り足しです。

およそ3mm、外側にデザインを広げます。

なぜ、塗り足しが必要なのか?

断裁は、印刷済みの紙を何枚も重ねて一気に行われます。
そのため、仕上がりより1〜2mm程、ズレることがよくあります。

紙の端までデザインがある場合、塗り足しが無いと、断裁のズレによって下地の紙が見えてしまいます。

これでは、せっかくのデザインが台無しです。
ズレることを想定して、デザインに影響がないように、塗り足しをします。

【 塗り足し要・不要の例 】

こちらは、紙の端までデザインがあるので、塗り足しが必要です。

こちらは、白いスペース(無色)が周りにあるデザイン。
仕上がり周辺にインキが乗らないので、カットが多少ずれても問題ありません。
よって、塗り足しは不要です。

まとめ

トンボとは。

印刷物を作る際に、必ず付ける目印。
別名「トリムマーク」。

  • 版同士を合わせる、裏表を合わせる目印。
  • 断裁の目印。
  • 折り線を明確にする目印。

このように、色々な役割があり、目印として使われます。

塗り足しとは。

塗り足しは、断裁のズレ対策。
仕上がりサイズを超えておよそ3mm、トンボの角までデザインを広げる処理のことを指します。

紙の端までデザインがある場合は、
断裁がズレることを想定して、デザインに影響がないように、塗り足しをします。

あとがき

以上、トンボ・塗り足しについてでした。

この知識は、ご自身でデザインされる方はもちろん、デザインを依頼する方も知っていて損はありません。

デザイナーからデータを受け取って、トンボや塗り足しが無い場合、すぐに気付くことが出来ます。

最近では、トンボ無しでの入稿も可能な場合がありますが、まだまだトンボは必要とされています。



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