【印刷・DTP】入稿用データで必要な「トンボ・塗り足し」とは?
トンボ、塗り足しとは?
印刷会社さんに印刷を依頼するには、
印刷に適したデザインデータを用意する必要があります。
その際に、必ず必要になるのがトンボです。
塗り足しは、紙の端までデザインがある場合に必要な処理のことです。
それぞれ、どんな役割があって、なぜ必要なのか?
例を用いて、分かりやすく簡単に説明します。
目次
トンボとは?
トンボは、印刷物を綺麗に仕上げるために必ず必要な目印 です。
別名「トリムマーク」。
↑ 見た目はこんな形をしていて、以下3つの役割があります。
① 版をぴったり重ねるための目印
カラー印刷は、4色(CMYK)のインキを重ねて様々な色を表現しています。
CMYKは、C=シアン/M=マゼンタ/Y=イエロー/K=Key Plate(ブラック)。
それぞれの頭文字です。
例えば、このようなデザインデータを入稿したとします。
印刷工程では、始めにデザインデータを4つの色(CMYK)に分けます。
そして、【 Cの版、Mの版、Yの版、Kの版 】合計4つの版を作ります。
多色使いの版画を思い浮かべていただくと、分かりやすいかもしれません。
この4つの版を使って、インキを順に重ねて印刷していきます。
- Kの版で、Kのインキを使用し印刷
- 1.の上に、Cの版で、Cのインキを使用し印刷
- 2.の上に、Mの版で、Mのインキを使用し印刷
- 3.の上に、Yの版で、Yのインキを使用し印刷
このとき、4つの版がぴったり重なるようにトンボを目印にします。
これが、一つ目のトンボの役割です。
裏面があるデザインの場合にも、トンボが活躍します。
トンボがあることで、表裏をぴったり合わせて印刷することができます。
モノクロ印刷など、使う色が1色の場合も、以下②③の理由から、トンボは必要です。
② 断裁(カット)するときの目印
印刷は、大きな紙にいくつか並べて行われます。
これは、「面付け」と言います。
※ポスターなどサイズの大きいものや、印刷機によっては、面付けしないこともあります。
薄いグレーの部分が紙。
赤い線が仕上がりで、ここでカットされます。
例では、分かりやすいように色をつけています。
印刷した後、トンボを目印に断裁機でカットされます。
このために、トンボが必要になります。
断裁後がこちら。↓
\完成です/
③ 折り線の目印
三つ目の役割は、折り線などの加工が入る目印。
これは、デザインを制作する側にとっても、レイアウトする上で欠かせない大切なトンボです。
以下は、三つ折りパンフレットのデザインデータ(架空)です。
中央から見て、左右上下に4本付け足している線が、折り線のトンボ。
(分かりやすいように、赤くしています)
三つ折りパンフレットや、パッケージなど、折り加工をするデザインに付けます。
折り加工が必要な場合、このトンボがないと、印刷会社さんは、どこで折れば良いのか分かりません。
【注意!】トンボを付けるときの注意点
トンボの線の色は必ず、C 100%/M 100%/Y 100%/K 100%にします。
この4色全てを100%にすることを「レジストレーション」と言います。
なぜ、レジストレーションにしなければならないのか?
例として、K 以外を20%にしてみます。
ブラック以外のトンボの色が薄くて、ほとんど見えませんね。
これでは、版を合わせることが難しくなります。
多くのデザインソフトでは、自動でレジストレーションになりますが、
念のため入稿前に確認することをおすすめします。
塗り足しとは?
塗り足しは、断裁のズレ対策です。
仕上がりサイズを超えて、トンボの角までデザインを広げることを言います。
赤く囲った線は、カットされる部分。
この線から外側にはみ出た部分が、塗り足しです。
およそ3mm、外側にデザインを広げます。
なぜ、塗り足しが必要なのか?
断裁は、印刷済みの紙を何枚も重ねて一気に行われます。
そのため、仕上がりより1〜2mm程、ズレることがよくあります。
紙の端までデザインがある場合、塗り足しが無いと、断裁のズレによって下地の紙が見えてしまいます。
これでは、せっかくのデザインが台無しです。
ズレることを想定して、デザインに影響がないように、塗り足しをします。
【 塗り足し要・不要の例 】
こちらは、紙の端までデザインがあるので、塗り足しが必要です。
こちらは、白いスペース(無色)が周りにあるデザイン。
仕上がり周辺にインキが乗らないので、カットが多少ずれても問題ありません。
よって、塗り足しは不要です。
まとめ
トンボとは。
印刷物を作る際に、必ず付ける目印。
別名「トリムマーク」。
- 版同士を合わせる、裏表を合わせる目印。
- 断裁の目印。
- 折り線を明確にする目印。
このように、色々な役割があり、目印として使われます。
塗り足しとは。
塗り足しは、断裁のズレ対策。
仕上がりサイズを超えておよそ3mm、トンボの角までデザインを広げる処理のことを指します。
紙の端までデザインがある場合は、
断裁がズレることを想定して、デザインに影響がないように、塗り足しをします。
あとがき
以上、トンボ・塗り足しについてでした。
この知識は、ご自身でデザインされる方はもちろん、デザインを依頼する方も知っていて損はありません。
デザイナーからデータを受け取って、トンボや塗り足しが無い場合、すぐに気付くことが出来ます。
最近では、トンボ無しでの入稿も可能な場合がありますが、まだまだトンボは必要とされています。