自分の見せ方が、

仕事の証明になる

以前、雑誌の取材でお話を伺った方が、
こんな話をしていました。

「健康を扱う仕事をしているからこそ、
自分自身の見え方にも気を配りたい。
そうでないと、説得力がないでしょう?」

そして、その社長自身が、まさにその言葉を体現していました。
日頃から運動を欠かさず、シュッと引き締まった身体と、肌つやの良さ。
見るからに健康的な方でした。

その姿を見て、届けている価値と、本人から伝わる印象が一致していることが、言葉の説得力やその人への信頼につながるのだと感じました。

たとえば、

「伝わるデザインに整えます」
と言っている人のサイトが分かりにくかったら。

「ブランディングが大切です」と言っているのに、
サイトや発信ごとに受ける印象がばらばらだったら。

自分たちが体現できていないことを、「できます」と言われても、簡単には信頼できません。

言葉と、実際の印象が一致しているか。
依頼する側は、そこも感じ取っています。
言葉にできなくても、どこかで違和感を覚えるはずです。

少なくとも私は、さまざまな人やサービスに触れる中で、
そう感じてきました。

そして私自身も、
自分の見せ方に同じようなズレを抱えていました。


自分の見せ方を、
後回しにしてきた

私は以前のホームページに、こんなことを感じていました。

人に積極的に見せたいと思えない。

デザインの仕事をしているのに、
自分のホームページは、今の自分を表せるものになっていない。

そんな気持ち悪さを頭の隅に抱えながら、
日々の仕事を優先して、お客様の見せ方ばかり整え、
自分の見せ方は後回しにしてきました。

気づけば、サイトを立ち上げてから10年近く経っていました。

その間に、経験も増え、考え方も変わりました。
大切にしたい仕事の方向性も、少しずつ見えてきました。

それなのに、自分の見せ方だけが昔のまま残っている。

理由のひとつは、自分の強みをうまく言葉にできていなかったことです。

何ができるのか。  

どんな仕事や人を大切にしたいのか。  

誰に、どんな価値を届けたいのか。

自分の中でまだ整理しきれていなかったから、
ホームページをどう作り直せばいいのか分からず、
なかなか手をつけることができませんでした。

「とりあえず困っていないから、後でいい」  

「いつかやろう」

そう思っていました。

「いつかやろう」が「今やろう」に変わったきっかけは、
とあるクリエイターの交流会に誘っていただき、参加したことでした。

第一線で活躍する方が多く集まり、耳にするお話がどれも新鮮で、とても刺激的な会でした。

私の名刺にはホームページのQRコードを入れているのですが、
その場でQRコードを読み取り、ホームページを見てくださる方が、
いつもより多かったのです。

そのたびに私は恥ずかしくて、

「かなり前のサイトで、更新していないんです〜」

と、その場を取り繕うように答えていました。

「もうこんな思いはしたくない」

そう思ったら、もう動くしかありませんでした。


見せ方も、信頼の一部

ホームページを作り直す中で、
自分の仕事をどう見せ、どう伝えていくかを考えること自体が、
ブランディングなのだと感じました。

何を載せるのか。

何を載せないのか。  

どんな言葉で伝えるのか。

どんな実績を前に出すのか。  

そうした一つひとつの選択が、
その人や事業の印象を形づくっていきます。

できることや実績をたくさん載せれば、伝わりやすくなるわけではないし、情報をすべて並べれば、安心してもらえるわけでもありません。
情報が多すぎることで、かえって何を頼める人なのかが見えにくくなったり、読む人を迷わせてしまうこともあります。

写真や素材はある。

実績もある。  

伝えたい想いもある。

それでも、見る人に伝わる見せ方になっていなければ、
その魅力は伝わりきりません。

何を相談でき、どんな価値を受け取れるのかが見えないまま実績やサービスを並べても、読む人は自分に必要な相手なのか判断できません。

私はこれまで、
「どんなお仕事をされているんですか?」
と聞かれるたびに、言葉に詰まっていました。

印刷物もWebも幅広く手がけてきたけれど、
自分の仕事をひとことで表す言葉が見つからなかったからです。

「デザインなら何でもできます」

「いろいろやってみたいので、いろいろやっています」

と、そのときの自分の本心を、そのまま口にしていました。

すると相手も、「そうなんですね」「いいですね」と返すしかなく、
会話はそこで終わってしまいます。

私が何を得意としていて、どんなことを大切にしているのかまでは、伝わっていませんでした。

本当は、伝えたいことも、できることも、もっとあるのに。

今回、自分のホームページを整えるなかで、自分の仕事を人にきちんと伝えるにはどうすればいいかを考えました。

そのために、これまでの仕事を振り返り、
自分が大切にしてきたことや、これから届けたい価値を整理しました。

その結果、ようやく自分の仕事を
自分の言葉で説明できるようになりました。

日々の忙しさのなかで、今の仕事や事業の見せ方にじっくり向き合うことは、簡単ではありません。

けれど、見せ方を整えることは、今の仕事や事業で何を大切にしていきたいのかを見つめ直すことでもあります。

その整理があるからこそ、依頼や購入を検討している人にも、大切にしている考え方や届けている価値を、きちんと伝えることができます。

そして、どれだけ良いことを語っていても、実際の見せ方や行動が伴っていなければ、説得力も信頼も生まれません。

自分の見せ方は、その言葉が本当であることを伝える、
ひとつの証明になると私は思います。