人を紹介するとき、
私は少し慎重になります。
紹介は、ただ連絡先をつなぐことではない
と感じるからです。
紹介した二人にとって、期待していた時間にならなかったり、
どちらかが「会わなければよかった」と感じる結果になったりすれば、
紹介した私の信用にも関わります。
「この人なら安心して会ってもらえる」
「相手にとっても意味のある機会になる」
「この人なら、きっと話が合う」
そう納得できて、初めて
「紹介したい」「二人の接点をつくりたい」と思います。
考えてみると、人を紹介することと、誰かの名前や仕事を実績として掲載することは、少し似ています。
どちらも、自分を介して、その人や仕事が誰かに伝わる行為だからです。
名前が載るということ
ホームページの実績紹介は、
掲載する側にとって、これまでの仕事や考え方を伝え、
次の依頼につなげるためのページです。
工務店なら、施工実績。
講座なら、お客様の声や成果。
デザイナーなら、制作実績。
形は違っても、どれも「誰と、どんな仕事をして、どんな結果を残したのか」を伝えるものです。
こうした実績は、これから依頼を検討する人にとって、大きな判断材料になります。
一方で、掲載される側にとっては、名前や会社が、そのホームページ全体の雰囲気や考え方と一緒に受け取られることになります。
掲載を承諾することは、その方や会社が積み重ねてきた信用の一部を、掲載先に預けることでもあります。
これは、パンフレットやチラシなど、紙の販促物も同じです。
名前やロゴ、制作物、感想などが載ることで、その媒体や発信者と関わりのある人・会社として受け取られます。
その媒体の雰囲気や考え方も、
その方や会社の印象に重なるということです。
Web上ではさらに、名前や会社名を検索したとき、その掲載ページが検索結果に並ぶこともありますし、場合によっては、自社のホームページより上に表示されることもあります。
一度公開された情報は、どこでどのように参照され、受け取られるかを、自分でコントロールしにくい面もあります。
また、掲載後に内容の見直しをお願いしたくなっても、相手との関係性を考えると、言い出しにくいことがあります。
相手の好意で掲載してもらったものであれば、なおさらです。
私自身、掲載について戸惑った経験があります。
まだ一人で仕事を受け始めたばかりの頃、仕事で関わった方が主宰する有料講座に招いていただいたことがありました。
そして、講座に参加した翌日、
「感想と顔写真を送ってください」と連絡がきました。
招いていただけたこと自体をうれしく思っていたからこそ、それを淡々と当たり前のことのように求められたとき、「最初からそのためだったのかな…」と感じ、少し悲しくなったことを覚えています。
当時は、なぜこんなに引っかかったのか、
うまく言葉にできませんでした。
今思えば、招いていただいたことへの感謝と、ホームページへの掲載に協力することは、私の中では別のことだったのです。
掲載する側の事情だけが先にあり、掲載される私がどう見られるかまでは、あまり考えられていなかったように感じます。
そのことが、悲しかったのだと思います。
だからこそ、私がお客様に「制作実績としてホームページに掲載してもいいですか?」と伺うときは、許可をいただくだけで終わらせたくないと思っています。
このホームページに、その方の名前や仕事を載せていいのか。
その方がここに載ることで、どんなふうに見られるのか。
そして、「ここに載ってよかった」と思ってもらえる場所になっているか。
なぜなら、実績ページを訪れた人は、
制作物だけを見ているわけではないからです。
そのホームページに書かれている
理念や言葉。
発信している内容や人柄。
ほかにどんな実績が並んでいるのか。
どんな規模感や、
どんな考え方の人が依頼しているのか。
そうしたものも含めて、
「この人は、ここに依頼している人なんだ」
と意識的にも無意識にも受け取られます。
載せられることも、
ブランディングの一部
たとえば、ある仕事の実績が、
売上や成果だけを強く打ち出すホームページに掲載されたとしたら。
そこに掲載されている人や会社もまた、
数字や短期的な結果を最優先にする考え方なのだろうか、
と受け取られることがあるかもしれません。
もちろん、売上や成果を伝えることが悪いわけではありません。
ただ、実績として掲載されることは、
思っている以上に、その人の印象や信用まで映り込みます。
そこまで見ている人は少数派かもしれません。
でも、そんな見方をしている人がここに一人います。
仕事をしていると、
載せる側にも、載る側にもなることがあります。
実績紹介は、自分の手柄を並べるためだけのものではなく、
相手の仕事や名前を預かり、その人がどう見られるかにも関わるものです。
いろいろな考え方があると思いますが、私は、掲載をお願いするなら、クライアントがこのサイトを通してどう見られるかまで考えたいです。
掲載されたあとに、その方の名前や仕事が、意図しない印象と結びついてしまわないように。
「ここに載ってよかった」と思ってもらえるサイトであり続けられるよう、これからも整え、更新していきたいと思っています。
そうやって少しずつ良くしていくことも、
私にとっては楽しみのひとつです。